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ミニコラム

右腕ブルース⑤

投稿日:2025年12月19日|最終更新日:2025年12月19日

前回のあらすじ
おととしの秋ごろ、右腕を使い過ぎで痛めてしまいました。回復したかと思うとぶり返す厄介な症状で、簡単には治らないことを覚悟し、日々の生活の中で右腕への負担を減らす工夫を始めたのでした。毎日の食事の支度では、よく切れる包丁に買い替えることで予想以上に腕の負担を軽減することができました。パソコンを使う仕事でも、フットスイッチを使って足でカーソルを移動したり、音声でテキストを入力するなどして、右腕の負担を軽減する工夫を続けました。(初回はこちら

マウス二刀流

パソコンは長年使ってきましたが、キーボードやマウスの操作が苦痛だと感じたことはなかったので、エルゴノミクスタイプのキーボードやマウスに興味を持ったことはありませんでした。しかし、今は腕の負担を少しでも減らせるなら何でもしようと思っていたので、エルゴノミクスマウスを試してみることにしました。

 

一般的なマウスではボタンやホイールが水平な面に配置されていますが、このタイプのマウスではその面が縦向きになっています。縦向きのほうがより自然な姿勢でマウスを握れるということらしいのですが、実際にそのとおりでした。ぶらんと下げた腕を肘から持ち上げたときの手の向きは確かに縦向きです。その向きのままマウスに手を添えられるので、腕がリラックスしていることを実感できました。

 

しかし使い始めてみると、右手でマウスを使っている限り右腕へのダメージは蓄積していくことがわかりました。ボタンのクリックやホイールの操作を何度も繰り返すことが前腕を疲れさせているようでした。そこで、マウスを左手に持ち替えることを決意しました。左右のボタンの機能を入れ替えられるマウスも持っていましたが、すでにエルゴノミクスの利点を知ってしまったので、少ない選択肢の中から左手用のエルゴノミクスマウスを選択しました。最初はぎこちなかったマウスの操作にもやがて慣れ、今でもマウスは基本的に左手です。これも右腕の負担軽減に大きく貢献しました。

しかし実は、私の机の右側にもまだマウスは置いてあります。前回書いたことですが、私のWindows PCは音声入力の反応が悪かったため、スマートフォンの音声入力でオンラインファイルにテキストを書き込み、それをPC側でコピペしていました。この回りくどい手順の操作性を少しでも良くするため、スマートフォンに右手用のエルゴノミクスマウスを接続していたのでした。

 

今はこんな方法で音声入力をすることはなくなりましたが、スマートフォンを見やすい位置に固定するためのホルダーとこのマウスはそのまま使っています。いつのまにかマウス二刀流に開眼していたわけです。ただ、操作性が良くなったせいで、ついついスマホを見てしまうというマイナス面もなくはありません。二刀流は諸刃の剣でもあったのでした。

さて、やれるだけのことはやった、あとは右腕の回復を待つばかりと思っていたところで、ひそかに恐れていたことが起こりつつありました。マウス以外にも右腕の代役をあれこれ務めていた左腕に痛みが現れ始めたのでした。「人生終わったな……」という声が胸の奥から聞こえてきました。

つづく

編集部 F