音声入力
原稿の整理などの仕事では、フットスイッチの導入でそれなりに右腕の負担を軽減できました。しかし、原稿の執筆や翻訳書籍の制作などではそうはいきません。キーボードでテキストをたくさん打ち込む必要があるからです。そこで、音声入力を試してみることにしました。
Windowsキー+Hで音声入力モードに入れることがわかったので、さっそく試してみましたが、どういうわけか反応が良くありません。私のPCに固有の問題なのかもしれませんが、すんなりテキスト化できるのは最初の1文くらいまでで、その後が続きません。無視されたのかと思いきや、しばらくしてから再び音声入力を始めると、前回に入力した音声がいまごろテキスト化されて、今回の音声の前に割り込んできたりします。いろいろ調べたり試したりしましたが、結局この問題を解決できませんでした。
そこで苦肉の策として、スマートフォンの音声入力を使ってみることにしました。まずスマートフォンとPCで同じGoogleドキュメントのファイルを開いておき、そこにスマホから音声でテキストを入力します。しばらくするとPC側にもそのテキストが同期されるので、それをコピペするというわけです。なんとも回りくどい方法ですが、それくらいしか思いつきませんでした。効率はかなり落ちましたが、そんな方法でなんとか乗り切ったのでした。
まとまった量の原稿の執筆では、仕事用のWindows PCをいったん離れて、主に個人用のMacで音声入力をしたこともありました。私の印象では、Macの音声入力が最も優れていて、次にAndroidのスマートフォン、そして言うまでもなくWindowsが最下位です。ただし、Macは私が必要としている以上に漢字に変換したがる癖があるのが難点でした。後からひらがなに手直しするのが面倒なので、自分が使う表記や用語などを覚えてくれるとありがたいのですが、現在のAIなら良い方法があるでしょう。
けれども、音声入力を試してみて痛感した一番の問題点は、自分が口下手だということでした。頭の中では整理できていたつもりの話なのに、いざ話し始めてみると言葉に詰まったりとっちらかったりします。音声入力技術がいくら進化しても、自分が話し下手では話になりません。自分も進化しなければいけないと思っていたときに、たまたま目にしてしまったのが、AIボイスレコーダーでした。
出費に対する心理的ハードルが下がっていたこともあり、つい手を出してしまったのですが、悪くない買い物だったと思います。人間相手に話すのとはモチベーションが違いますが、話し相手への気兼ねはありませんし、とりとめなくわき道にそれても、本題を忘れて沈黙しても、すでに言ったことを繰り返しても、大丈夫です。どんなにグダグダな話でもAIが要約してくれるので、後で見返す気になれるレベルの記録にはなっています。わざわざボイスレコーダーに話し始めるまでが面倒ですが、心理的はハードルは下がったと思います。
さて、キーボードの操作による負担はそれなりに軽減できました。しかし、マウスの操作だけでも右腕には十分に負担になっていたので、それもなんとかしなければと考えていました。
(つづく)